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D2C成功の鍵。ユーザーの信頼を高める戦略とは?

近年は自社でオンラインショップを運営することで顧客を定着させ、売上アップや利益率改善を目指す企業が増えています。オンラインで自社製品の販売を企画する際に重要なのが、顧客とどのように接点をつくり、関係を深めていくかという「コミュニケーション戦略」。
京都市内で大正時代から寝具の製造販売を行う大東寝具工業様も、そんな企業のひとつ。卸に依存したこれまでの収益構造から脱却し、一般ユーザー向けオンラインショップを用いて直販強化を狙っておられました。
今回は大東寝具工業様のサイトリニューアルの事例を通して、コーポレートサイトとオンラインショップの相乗効果を狙う戦略、そして新規顧客との出会いの場を創出するコーポレートサイトの活用例をご紹介します。

メーカーの挑むD2C、その成功の秘訣とは


現代は技術の進歩により良質な商品が溢れ、プロダクトで差別化を図ることが難しい時代です。消費者の商品選択の基準も、サービス体験や思い入れ・事業者との関係性を重視する「コト消費」に遷移しています。
大東寝具工業様はそんな時流を読み、「付加価値を伝えるモノづくりに回帰する」という考えのもと、D2C事業の強化という転換期を迎えていました。オンライン販売を成功させるには、自社の顧客を増やして売上アップを目指すことはもちろん、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を上げて顧客との関係を長期的に構築することが重要です。
コーポレートサイトの再構築にあたり、はじめに企業理念や目指す姿を再定義し、「眠りのプロ」として顧客に付加価値を提供することを目指すことに。睡眠に悩みを抱える顧客をターゲットに定め、眠りの相談役として接点を構築することにしました。

お客様にそっと寄り添う存在へ


企画されたのは、一般消費者向けのコーポレートサイト。眠りのプロという立ち位置から、一般ユーザーの悩みにこたえるコンテンツを豊富に揃えています。また別ドメインでオンラインショップを運営することによって、自社顧客の創造という共通の目的を持ちながらも、それぞれの機能が明確に分けられているのが特徴です。
コーポレートサイトのTopページには、顧客の悩みを切り口にしたコンテンツとして、眠りについて/睡眠環境について/くつろぎについて/子どもの睡眠についての4項目を設置。ターゲットである睡眠に関する悩みを抱えるユーザーに向けて理想的な睡眠環境やおすすめの寝具の情報を具体的に発信することで、快適な眠りをサポートしています。
また、「睡眠健康指導士」の資格をもつ社員が豆知識を発信するブログやOne to Oneで悩みを相談できるフォームを設置するなど、長年積み重ねた寝具製造販売のノウハウをサイト上でも活用。睡眠にまつわるプロの相談役として、ユーザーとの関係を深めています。

オンラインで届ける顧客体験

悩みを抱えたユーザーが検索流入しサイト内のコンテンツで悩みを解決する一連の過程で、自社製品やサービスが認知されるという新たな動線が誕生。プロの視点でユーザーの悩みに寄り添い、睡眠環境改善に向けた解決策を提案することによって、店舗を訪れるのと同等の体験価値を提供できるようになりました。
また、睡眠環境に関するコンテンツが検索流入を促し、リニューアル後のサイト流入数は120%アップ。「悩みを解決してくれたアドバイザー」として認知されることで企業への信頼度もアップし、オンラインショップでの商品購入も増加。悩み解決から商品購入のプロセスで積み重ねられる信頼が、リピーター獲得にも効果を発揮しています。

まとめ

今回のコーポレートサイト制作を契機に、顧客との関係の在り方を企業として見直された大東寝具工業様。軸となったのは、「顧客にとってどのような存在を目指すのか」という考え方でした。
ターゲットとの出会いから商品購入まで、オンラインでの顧客体験を設計するコミュニケーション戦略によって、新規顧客の創出と新たな売上の柱の確立を実現。
付加価値の高いものづくりに回帰し、企業として目指す姿を体現するWebサイトを構築したことが、D2Cの成功につながりました。
モノ消費からコト消費へ変化する社会のなか、顧客への提供価値にこだわり関係構築に成功した大東寝具工業様のストーリーは、次代の「売る」を考える機会とヒントになりそうです。

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