売る、魅せる、考える人へのクリエイティブメディア

商品からブランドへ魅力を伝えるデザイン

パッケージデザインは、商品の第一印象を左右する大事な要素。既存商品のパッケージを一新したことによって、商品イメージや売上の向上につながったというケースも多々見受けられます。

瀬戸内海に浮かぶ広島県の離島・大崎上島(おおさきかみじま)でジャム製造・販売を行う株式会社LAFRULE様の「檸檬蜜(れもんみつ)」もその一つ。島特産のレモンのみを使った特製ジャムで、レモンブーム到来前から長年作り続けている看板商品です。

商品力のアップを目指し、2013年にパッケージをリニューアルしたところ、ローカルから全国へ、単品からシリーズ化へと、大きく飛躍していきました。そんな「檸檬蜜」のリニューアル事例を通して、パッケージデザインの極意に迫ります。

離島で誕生したこだわりの檸檬蜜

商品パッケージには、商品の特長を的確にとらえ、その部分が引き立って見えるような表現が求められます。

株式会社LAFRUL様の特製ジャム「檸檬蜜」の場合は、地元・大崎上島でとれたレモンのフレッシュな果実味が最大の特長。「レモンのおいしさをそのまま届けたい」との想いから、材料を生のまま瓶に詰めて加熱加工する「生詰製法」を独自に編み出し、極上の風味と鮮やかな色合いを実現させた自慢の逸品です。

しかし、2013年のリニューアルまでは瓶のままで販売していたため、肝心の特長や製法のこだわりを十分に伝えきれていませんでした。そこで新たに化粧箱を作り、さまざまなメッセージを込めることに。前述の特長・こだわりを再確認したうえで、ターゲット層や価格帯、企業としてのビジョンを明確にするところから、本格的なリニューアルがスタートしました。

檸檬蜜の魅力を消費者に伝えるデザイン

ターゲット層や価格帯、今後の展開などが定まると、パッケージデザインの方向性も定まりやすくなります。「檸檬蜜」については、商品価値の見極めに長けた、こだわりの商品を求める女性を主要ターゲットとし、価格も600円台に再設定。いずれはレモン以外のフルーツも取り入れて「生詰檸檬蜜」シリーズを全国展開させたいという展望も相まって、「檸檬蜜」発展の大きな転機となりました。

完成した新パッケージは、化粧箱に空いた丸い窓から、独自製法による商品の鮮やかな色合いを消費者に伝えられるように。爽やかな果実味を想起させるフレッシュな色味と上質・上品なデザインで、消費者に伝えたい商品の具体的な要素をひとつずつデザインに落とし込んでいきました。

いずれも「檸檬蜜」という商品の魅力を最大限に引き出し、セールスポイントを正しく伝えるための仕掛けです。

商品ブランドを確立し、シリーズ化を実現

リニューアル当初からシリーズ化や全国展開を想定していた「檸檬蜜」。シリーズ展開を見据えて、商品ブランドを「LAFRUL(ラフール)」と名付け、ロゴも新たに設けることになりました。「檸檬蜜を通じて大崎上島の存在を全国の人に知ってもらいたい」との想いから、ロゴのデザインは、大崎上島のシルエットにレモンの葉をあしらったデザインに。裏面には、大崎上島の場所がわかるよう地図も添えました。ブランド名のLAFRULはのちに社名にも反映されています。

成果が表れたのは、リニューアル後まもなくのこと。全国に販売店を持つ事業者の目に留まり、物販商品としての取り扱いが決定、「檸檬蜜」が全国の店舗に並ぶことに。商品の魅力をより深く伝えるパッケージリニューアルの効果がB2B(対事業者)取引にも波及したのです。

株式会社LAFRUL様ではその後、ラフールブランドの商品が続々と誕生。「生姜檸檬蜜」「ゆず檸檬蜜」「ローズ檸檬蜜」など5種類の「生詰檸檬蜜」シリーズのほか、「檸檬蜜」をアレンジしたデザートシロップも多数展開されました。どれだけ種類が増えても、「フルーツのおいしさをそのまま届けたい」という初心を忘れず、こだわりの素材や製法を決して変えない。ブレない信念があればこそ、シリーズ全体の相乗効果が生まれます。

まとめ

株式会社LAFRUL様の「檸檬蜜」は、パッケージリニューアルを機に、ローカル商品から全国区の商品へと生まれ変わり、シリーズ化にも成功しました。その要因は、デザインを決定するまでの過程で、商品の特長やターゲット層、将来的なビジョンなどを明確にし、それらをデザインにしっかりと落とし込むことができた点にあります。

この事例からもわかるように、“良いデザイン”とはターゲットに対してメッセージが正しく伝わるかどうかに懸かっています。つまり、目にした人が心地よさを感じ、思わず手に取りたくなるもの。そんな商品とするべく、企業の意図×商品の魅力×消費者(ターゲット)のバランスを取り、カタチにするのがデザインの役割なのです。

この記事を書いた人