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観光地で人気のスイーツを目指す新事業

近年、製造メーカーや卸などBtoB事業を展開する企業が販路拡大を目的に、物販事業や店舗運営事業をスタートする例が注目されています。メーカーや卸業の企業が、直接エンドユーザー(消費者)と接点を持つことで得られたノウハウ・視点が主力事業のヒントとなり、事業を拡大させる効果もあります。しかし実情は、多くの企業が採算ベースにのらず苦戦しているケースも多分にあります。

今回は、京都嵐山で「まるにあん」という店舗を開業、食べ歩きスイーツ「ぱふぇどら」の販売をスタートさせた老舗和菓子メーカー 都食品様の例を参考に、成功の鍵となるポイントを解説します。

観光地 京都・嵐山でスタートする新事業

年間5,000万人の観光客が集まる京都。一号店の出店は観光客の1/4が訪れる嵐山に決定しました。嵐山は修学旅行生~30代までの若年層に人気のスポット。店舗は、最寄駅から人気の名所「渡月橋」に続くメインストリートを脇道に入った3軒目。飲食店や土産物店が集まる賑わいのあるエリアです。

観光客の数は時季によって変動するもの。その波が店舗の売上に直結する観光地特有の事情をどう解決するか、当初からの懸念事項になっていました。
閑散期の売上を確保する手段として百貨店の催事出店を狙うことに決定。バイヤーがSNSを活用して、巷で人気の商品を探すことを利用し、「ぱふぇどら」を食べたお客様が京都観光の思い出としてシェアしたくなる商品の企画・開発を進めました。

京都・嵐山で”人気の商品”を目指して

観光地でお客様の心を掴むのは、その土地ならではの食文化や体験。

ロゴはどら焼きをモチーフにした日本らしい家紋のデザインに、店舗名・商品名はいずれもひらがな表記に、はんなり柔らかい、京都らしい・和風のイメージを表現しました。また観光地での食べ歩きを想定し、片手で持てて手を汚さず食べられるよう商品とパッケージの試作を重ね、サイズ感を調整しました。

その結果、観光地で食べ歩きする人を見かけて店舗を訪れる、商品が広告塔となり次のお客様を呼ぶサイクルをつくることができました。

思わずシェアしたくなる「写真映え」を追求

Instagram全盛の時代。SNS上で話題になるには10代~30代のSNS世代の心を掴み、シェアしたくなるような写真が撮れてこそ。まるにあんでは、お客様が思わず投稿したくなる写真が撮れるよう2つの工夫を施しました。

ひとつは、商品パッケージ。
包装資材を少し小さめにつくることで、どら焼きに挟まった溢れんばかりのクリームが強調された、美味しそうな写真が撮れるように計算されています。

ふたつめは、店舗の外装。
観光地で撮る写真は人の写り込みなど雑多な背景になりがち。そこで店舗の外壁にロゴを大きく配置した黒板を設置し、撮影スポットを用意しました。このようなユーザーの写真の撮りやすさを追求する工夫で、フィードには美味しそうに、美しく撮られた投稿が並びました。

その様子が百貨店バイヤーの目に留まり全国から出店の問合せが相次ぎ、閑散期の売上を補填し安定した収益体制をつくることができました。

まとめ

製造メーカー・卸を展開する企業が店舗ビジネスなど、新事業を興す際にはノウハウを活かした「商品力」が大きな強みなる反面、細かなターゲット設定と顧客体験の設計が課題になることが多いようです。またマーケットと直結することで、シーズナリティやトレンドの影響も大きく受けます。そのような事業の特性を早い段階で掴み、対策をたてることが成功の鍵となるです。

  • 百貨店の催事に目をつけバイヤーの行動を先回りできたこと
  • 徹底的にエンドユーザーのことを考え、ユーザーにとって心地良い接点を追求したこと

今回の「ぱふぇどら」の事例では以上2点のポイントを押さえられたから、成し遂げられた成功事例なのではないでしょうか。

エンドユーザーの視点を活かし主力事業の製品開発や商品企画にフィードバックできれば、新規事業が企業の成長を加速させるエンジンとなるのです。

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