チエノワデザイン
業務用輸入食材を扱う専門商社・アサヒグラント様は、急激なおうち需要の増加に伴い、卸先依存の収益構造に危機感を持たれました。
新規事業としてECサイトに挑戦する過程では、特にBtoCのノウハウがない場合、さまざまな課題が生まれます。そこでアサヒグラント様は当社にご相談され「既存得意先との関係維持」や「自社の魅力を正しく伝えるブランド構築」「消費者をファンに育てる仕組み」など、二人三脚で課題を乗り越えていくことに。
現在では、オンラインショップを通じて一般消費者の心を掴み、リピーターが増加。直販事業が事業の柱に成長しています。
【前編】では、直販事業立ち上げのきっかけから、自社の強みを顧客目線の魅力に転換するブランディングまでのストーリーをご紹介しました。
▶【前編】卸と小売りを両立する、中小企業のためのEC成功ストーリー。
今回の【後編】では、具体化フェーズとして消費者の購買意欲を掻き立てるデザイン、継続的な運用でサイトを育てていく過程をお伝えします。
ぜひ最後までお読みください。
目次
消費者と企業の接点となるオンラインショップは、企業のコンセプトを体現する場所です。消費者は、ショップのデザインや写真、テキストから総合的かつ直感的にブランドの世界観を理解します。
そのため、オンラインショップも実際の店舗と同じようにこだわり、ブランドコンセプトに沿って作る必要があります。
完成したオンラインショップは「オトナマルシェ MiAppe(ミアぺ)」。MiAppeとは、ハムやチーズ、オリーブを総称する「おつまみ」という意味です。
ロゴは、家と豚舎のシルエットを重ねたデザインに。生産者のもとから自宅に直接届く本場の味というメッセージを込めています。
冒頭につけた「オトナマルシェ」では、イベント感覚で訪れる楽しい雰囲気を演出。好みのおつまみを見つけるワクワク感を盛り上げ、外食に代わる楽しみを提供できるよう、非日常な雰囲気を表現しました。
商品を選び、購入するところから楽しんでいただく。「おうち時間を、心と会話がはずむオトナ時間に」というブランドコンセプトを体現するサイトになりました。
売れつづける仕組みづくりに欠かせないのは、ファンの存在。
オンラインショップでは特に、リピーターが多くなるにつれ収益も安定成長していきます。
そこで、ただ商品を販売するだけでなく、外出や外食に代わるイベント気分を届けられるよう、オンラインショップ内での商品の見せ方・コンテンツにも工夫を施しました。
まずは購入を左右する重要要素である商品画像。
メイン画像には、真空パックで包まれた商品写真ではなく、食べるシーンを想起させるイメージ画像を使用しています。例えばホテル仕様のソーセージは、卵やサラダを添えたモーニングメニュー風に撮影し、ホテルの朝食を想起させることに。休日に楽しむ普段より少しぜいたくな朝食用として、購入意欲を掻き立てます。
またセット商品には、アイテムを選ぶ楽しさをプラス。生ハムだけでなくチーズやオリーブを含むセットは、好きな商品をチョイスできる仕組み。好みの商品を選んだり、新しい味に挑戦したりと、消費者主導で楽しみ方を選ぶことができます。
ユーザーを飽きさせない工夫は購入後も続きます。商品には、美味しい食べ方やレシピを添えて発送。一定金額以上を購入するとオマケが付いてくるシステムもあります。自分では選ばない商品との出会いや新しい食べ方の発見。顧客をさらに惹きつける仕掛けであると同時に、売りたい商品をオススメしやすい仕組みです。
さらに、オンラインショップ内には産地や食材についてのコラムも掲載。専門店ならではの情報は、店頭で店員さんからうんちくを聞く感覚に似ています。実店舗のようなコミュニケーションを通してファンをつくる仕掛けです。
商品だけでなく、買い物自体を楽しみ、お店のファンになってもらえるように。購入前から購入後までの一連の体験を通して非日常をお届けし、お客様の心を掴みます。
オンラインショップのオープン後は、継続的に売上が伸びるようお店を育てるフェーズ。これまでBtoBの卸事業を行ってきたアサヒグラント様にとって、消費者と直接つながるBtoCのオンラインショップは新規事業です。
新規事業を成功させるコツは、リリース後もこまめにPDCAを回していくこと。しかしノウハウ不足や人手に限りがあるなど、運用段階で課題が生じる場合も少なくありません。
そこでアサヒグラント様には私たちの運用支援サービスを導入いただき、新規事業に伴走させていただきました。
運用支援では月1回の定例会議を行い、分析データを元に商品の見せ方や掲載内容を検討。ユーザーがより自然にサイト内を回遊できるような導線の整備や、新たな企画ページの作成など、運用専門のチームが共にPDCAを回しています。
また、オンラインショップの認知拡大に重要なGoogle広告の運用もサポート。必要以上に広告費をかけることなく、適切なターゲット選定やキーワード調整を通して、筋肉質な運用を行っています。
このようにオンラインショップの立ち上げから携わり、根幹にある戦略を理解しているからこそ、スピーディで柔軟な提案が可能。
現在「オトナマルシェ MiAppe(ミアぺ)」はオープンから約1年半が経ち、順調に成長されています。定期的なメルマガ配信などリピーター向けの施策も功を奏し、今期のコンバージョン率は昨年比150%という高水準で推移。
売上の柱となる事業へ、共に育てていくパートナーとしてご信頼いただいています。
策定したブランドコンセプトは、事業を通して顧客に何を提供するのかを明確にし、企業と顧客を繋ぐ架け橋となります。
市場環境の変化を捉え、卸依存から脱却し新たな売上の柱を確立するため挑んだ直販事業。
外出や外食に代わるワクワク感を演出すべく「プロの味をおうち時間に」をブランドコンセプトとして、オンラインショップ「オトナマルシェ MiAPPe(ミアぺ)」をオープン。
卸価格と直販価格の共存を実現するため生まれた「選べるセット」は、客単価を担保しながら顧客に楽しい購入体験を提供し、何度も購入したくなる看板商品に育っています。
オープン後は専門チームによる運用支援で、商品の見せ方や導線など都度サイトの改善を実施。日々の広告運用もサポートし、こまめにPDCAを回すことにより費用対効果のバランスを取りながら売上が伸びています。
専門商社として培った強みを活かした事業戦略とブランディングにより「卸先との関係を維持しながら販売力を持ちたい」という想いを実現されたアサヒグラント様。
顧客に愛されつづけるお店として、着実にファンの輪が広がっています。